田舎でつくろう!       自然の恵みを最大限に利用する

自然エネルギーの利用

太陽光発電

太陽電池を使ったシステムの構築 

■太陽電池システム

 

太陽電池は光が当たらないと発電しません。自然エネルギー全般に当てはまることなのですが、安定したエネルギーを得ることが難しいのです。今のところ、得られたエネルギーはバッテリーに蓄えて利用する仕方が、安価で分かりやすいシステムです。ならば、どうやってシステムを組んだらよいのでしょうか。以下にご説明いたします。

 

■システムの概要

太陽電池+バッテリー+直流用電気製品

太陽電池                   バッテリー         直流用電気製品

このように太陽電池と電気製品の間にバッテリーを入れることで安定した電力を得ることができます。これが太陽電池システムの基本形です。この場合は直流用の電気製品しか使うことができません。

 

太陽電池+バッテリー+インバーター+交流用電気製品

   太陽電池                バッテリー    インバーター   交流用電気製品

バッテリーにインバーターをつなぐと、家庭用の交流100V用の電気製品を使うことができます。

このシステムを大規模にすれば、家庭用の電気をまかなうこともできます。

 

太陽電池+バッテリー+インバーター+直流用電気製品+交流用電気製品

 

 

直流用

電気製品

 

 

交流用

電気製品

 太陽電池                 バッテリー     インバーター 

このようにシステムを組むことで、直流用、交流用両方の電気製品を使うことができるようにもなります。

 

※コントローラーを接続する場合もありますが、私の経験上あまり必要を感じません。コントローラーとは簡単に言うと、バッテリーを傷めないようにする物です。バッテリーは過充電や過放電に弱く、上手に使わないとすぐに使えなくなってしまいます。それを防ぐために、コントローラーを接続し、バッテリーの電圧を監視しながら、太陽電池からの電流をカットしたり、バッテリーの電気がなくなってきたら再び充電をはじめたりすることを自動で行います。また、電気製品を使いすぎたらバッテリーからの出力をカットしたりもします。

 

充電をカットする場合、せっかく作った電気を捨てていることと同じなのです。もったいないことです。最近では、インバーターにバッテリーの電圧が低下したら自動的にOFFになる機能の物も多くあります。また、インバーターを通さないでバッテリーから直接電気製品を使う場合も、その電気製品の様子から、バッテリーの電圧降下を知ることもできます。正確さを求めるなら、温度補正をしながらバッテリー液の比重を測定し、記録していくことです。かつて私もバッテリー管理を厳密にしていましたが、疲れました。でもバッテリーと電流のことがよく分かりました。

 

しかしコントローラーはあると確かに便利です。何もしなくていいのですから。でもせっかく自分でエネルギーを得ようとしているのですから、何もしないのでは逆にもったいないです。バッテリーが過充電になりそうになったら、太陽電池から別の回路(揚水ポンプや保冷・保温ボックスなど)に電気が流れるようにし、自作のコントローラーを作ってみてもおもしろいと思います。

 

■システム容量の決め方(使用電力が決まっている場合)

 

@まずは1日の平均使用電流量(Iad)を決めます。

A次に1日の平均使用電流量(Iad)から太陽電池の必要発電電流量(In)を求めます。

  1日の平均日射時間は全国平均で、3.8時間ですから、

InIad÷3.8

となります。

実際には、バッテリーやインバーター、太陽電池のパネルの汚れなどでロスが出るので、次のようになります。

バッテリー係数:0.8 

インバーター係数:0.8(使用するインバーターの効率。インバーターを使わない場合は1を当てはめる)

太陽電池の汚れなどのロス係数:0.9

 

InIad÷平均日射時間÷バッテリー係数÷インバーター係数÷ロス係数

 

B必要発電電流(In)の出力を持つ太陽電池を選びます。(12Vバッテリーに充電する場合は12Vバッテリー用太陽電池、24Vバッテリーに充電する場合は24Vバッテリー用太陽電池を選びます。)

 

※12Vバッテリー用太陽電池(12V系)とは、12Vバッテリーを充電するのに必要な電圧を持つ太陽電池のことです。充電には約1.5倍の電圧が必要ですから、12Vバッテリーに充電する場合、12(V)×1.5(倍)=18(V)となり、開放電圧約18Vの太陽電池を選ぶことになります。24Vバッテリー用太陽電池(24V系)も同様に計算します。

 

【それでは具体的に求めてみましょう】

 

●例1 12V30Wのオーディオプレーヤーを1日に2時間使う場合

 

@1日の平均使用電流量(Iad)は、

  30(W)÷12(V)=2.5(A

  これを2時間使うので

  Iad2.5(A)×2(h)=Ah

A太陽電池の必要発電電流量(In)は、この場合、12Vのオーディオプレーヤーなのでインバーターなしで使用します。よってインバーター係数を1にします。

  InIad÷平均日射時間÷バッテリー係数÷インバーター係数÷ロス係数

   = 5÷   3.8   ÷    0.8   ÷     1     ÷ 0.9

   =1.82・・・(A

したがって、約2Aの発電電流が必要になります。(少し余裕を持たせます。)

B12Vバッテリーに充電する場合、12Vバッテリー用2A出力の太陽電池1枚が必要ということが分かります。(12Vバッテリー用1A出力2枚でもかまいません。)

 

 

例2 100V15Wの蛍光灯を1日に4時間使う場合

 

@1日の平均使用電流量(Iad)は、

  15(W)÷100(V)=0.15(A

  これを4時間使うので

  Iad0.15(A)×4(h)=0.6Ah

A太陽電池の必要発電電流量(In)は、この場合、100Vの蛍光灯なのでインバーターを使用します。よってインバーター係数を0.8にします。

  InIad÷平均日射時間÷バッテリー係数÷インバーター係数÷ロス係数

   =0.6÷  3.8   ÷    0.8   ÷    0.8    ÷ 0.9

   =0.27・・・(A

したがって、約0.3Aの発電電流が必要になります。(少し余裕を持たせます。)

B12Vバッテリーに充電する場合、12Vバッテリー用0.3A(300mA)出力の太陽電池1枚が必要ということが分かります。

 

■システム容量の決め方(太陽電池出力が決まっている場合)

例として12V系発電電流量1Aの太陽電池を使います。

 

@上の式から逆算していけばいいのですから、まず平均使用電流量Iadを求めます。

   (InIad÷平均日射時間÷バッテリー係数÷インバーター係数÷ロス係数)から、

    IadIn×平均日射時間×バッテリー係数×インバーター係数×ロス係数

となります。

A今回の場合、必要発電電流量(In)=1(A)ですから、インバーターを使う場合、

  Iad=1×3.8×0.8×0.8×0.9

      =2.19Ah) 

となり、

  1日平均使用電流量(Iad)は

        IadAh)となります。(余裕を見て少し少なめにします。) 

B2Ahということは

100V20Wの蛍光灯(20(W)÷100(V)=0.2(A))を10時間(2(Ah)÷0.2(A))

100V50Wのパソコン(50(W)÷100(V)=0.5(A))を4時間(2(Ah)÷0.5(A))            

それぞれ使うことができるのです。このようにして計算できます。

 

■バッテリー容量の決め方

 

太陽電池からの電力だけでほとんどをまかなうシステムなら、小型のバッテリーでよいですが、昼間

に充電して夜間に電気を使用する場合や、バックアップ用の電源を持たないものなどでは、大型の

バッテリーが必要になってきます。自分の望むシステムによってかなり変わってきますので、1つの

目安にしてください。

 

バッテリー容量(Ah)=無日照保障日数×1日の平均使用電流量(Iad)÷バッテリー利用率÷インバーター係数

 

無日照保障日数:いつも晴れて太陽電池が発電するとは限りませんから、太陽が出ないでも電気を蓄えておける日数のことです。一般的には3日間にします。

 

バッテリー利用率:バッテリーの持っている容量をどれくらい使うかということです。太陽電池用のバッテリーは特別に作られていますから、容量の3分の2くらいまで使用できます。(バッテリー利用率:0.7)。しかし、安くて手に入りやすい車用のバッテリーは、容量の半分くらいまでしか利用することはできません。(バッテリー利用率:0.5)。

 

【例 100V50Wのパソコンを1日4時間使う場合】

 

  IadAh)=50(W)÷100(V)×4(h)

=2(Ah)

 

(バッテリー容量(Ah)=無日照保障日数×1日の平均使用電流量(Iad)÷バッテリー利用率÷インバーター係数)

バッテリー容量(Ah)=     3    ×       2         ÷    0.5   ÷                                                                      

0.8

15(Ah)

 

したがって、15Ahの容量のバッテリーを選びます。

 

 

 

田舎でつくろう!トップ   田舎暮らし   自然エネルギー   

 

Copyright(c) 2006  田舎でつくろう! All Rights Reserved